男性介護者と支援者の全国ネットワーク(略称:男性介護ネット)は2009年3月に発足し、男性介護者と支援者の全国的なネットワークづくりを進めています。
そして、介護する側もされる側も、誰もが安心して暮らせる社会を目指して、男性介護者の会や支援活動の交流及び情報交換の促進を図るとともに、総合的な家族介護者支援についての調査研究や政策提言を行っています。
1.「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」結成宣言
2.「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」5周年記念誌
1.「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」結成宣言
「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」
結成宣言
この4月で介護保険がスタートして10年を迎えます。この制度は、家族介護者の負担解消を大きな旗印として施行されましたが、それでも今なお家族介護者の抱える負担や課題は解消されたとはいえず、不幸な介護事件は後を絶ちません。むしろ、家族介護者をめぐっては、介護保険制度など一定の在宅介護の環境整備の中で以前とは異なる新たな状況や問題も発生しています。在宅介護の長期化、高齢化、重度化であり、介護する男性の増加もその一つの特徴的な現れといえます。すでに、「主たる介護者」の4人に1人は男性という報告もあり、介護を担う男性はもはや珍しい存在ではありません。
男女が共に介護を担う社会という視点から見れば、介護役割を担う男性が増えてくるというのは、たしかに喜ばしいことには違いありません。しかし、これまで家事や介護などのスキルを期待されることがなかった男性介護者の実態や、この問、続発している介護殺人や虐待の加害者の多くが息子や夫という男性であるという事実をみれば、決して手放しで歓迎されるような事態とは言えないのが現実です。
一方、地域に目を向ければ、男性介護者の悩みや願いに寄り添い、課題を共有しながら、男性介護者の会づくりや支援活動が、徐々にではありますが、全国的に広がっています。そして、これらの活動を通して、男性の介護実態やその支援方法についての貴重な経験知が蓄積されつつあります。しかし、こうした動向は、残念ながら社会全体に広く認知されるまでには至っていません。
いまあらためて、家族介護者の抱える問題を、男性介護者に焦点をあてることによって介護政策上の問題、さらにはわが国の政治・経済・社会システムの問題をより明らかにすることができるに違いありません。そしてこのことが誰もが老後を健やかに過ごすことができる社会を創りだす力のひとつになると思います。
私たちは、介護する側もされる側も、家族介護者の男性も女性も、誰もが安心して暮らせる社会ができるように、①各地で誕生しつつある男性介護者の会や支援活動について、相互の交流促進や情報交換を促進することによって、男性介護者の孤立の解消と地域を基盤とした男性介護者相互の支え合いの仕組みつくりを支援したいと考えています。さらに、②家族介護者支援についての調査研究や政策提言も、積極的に行っていきたいと考えています。男性介護者と支援者の全国的なネットワークが必要だ、という思し、から、志を同じくする皆さんと共におよそ一年間に渡る準備期聞を経て、ここに「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を結成するに至りました。
男性介護者の会や支援活動団体をはじめ、介護のまっただ中にある男性介護者や介護を終えた男性介護者、介護専門職・ボランティアなどの支援者、研究者など、この男性介護者をめぐる問題に関心のある皆さんはもちろん、広く家族介護者支援や介護政策に関心を持つ多くの市民の積極的なご参加を訴えるものです。
介護保険制度の発足10年を目前として、私たちは新しい介護社会の実現を目指し「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を結成することをここに宣言します。
2009年3月8日
男性介護者と支援者の全国ネットワーク
代表 荒川不二夫
〈問い合わせ先〉
〒602-8143 京都市北区等持院北町56-1 立命館大学人間科学研究所気付
「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」
Tel/Fax 075-466-3306(事務局業務曜日:毎週水曜日)
2.「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」5周年記念誌