コラム男の介護

アルツハイマー症の母

12月9日、高槻市男女共同参画課主催の連続講座において津止正敏先生の講演を聴かせていただく機会がございました。

2005年暮れ、母は認知症の症状を現わすようになりました。それ以来、私の生活は一変しました。家の中のことは何一つ知りませんでした。調味料の置き場所、洗濯石鹸の置き場所…。
古くからのお米屋さん、酒屋さん、お茶屋さんとのお付き合い…、そしてケア・マネージャーさんとの相談…。それまで、仕事の関係以外の電話連絡などしたことがなかった私は、仕事に追われながら、ただ途方に暮れました。

私は、疲れ、その事態を受け入れることができませんでした。そして、ある日、母親を殴りました。

その時、母は、スローモーションの映像のように、ゆっくりと腕を上げ、ボクサーがガードを構えるようにして、私をにらみ、叫びました。「どうして打つのさ!私はあんたに何にも悪いことなんかしてないじゃいないか!」私は、あの時のことが忘れることができません。

その後、母は特別養護老人ホームに入所することができました。今年、母は施設内で転倒して、施設での勧めもあり、初めて精神科の病院に連れて行きました。母は、アルツハイマー症であり、長谷川式検査では9段階の8。早期の段階でアリセプトの投与が行われていれば、症状はもう少し緩やかに進んだかもしれない。現在は、パーキンソン病の症状を併発しているとの診断でした。

2006年、母をかかりつけ医に診てもらったところ、その診断は老人性の物忘れはあるが、認知症の心配はないと言われていました。今年8月、私は、早期退職し、現在は、ほぼ毎日、母の施設に通っています。早い段階で、もっと広い情報を持つことができていればと悔やまれてなりません。

さらに、介護者支援法の運動に共感しております。微力ながら参加させていただくことができればと望んでおります。


大阪府 S・Kさんからのおたより。


(更新:2012/05/02)
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